カフェユニゾンディレクターの三枝克之さんが原作本の編集に携わった『初恋』が映画化された。主演は宮崎あおい。東京では上映が始まっていて立ち見の出る人気のようだが、沖縄では6月24日から上映。ひと足お先に試写に行ってきた。
東京から最終便で沖縄に戻って試写会場に駆けつけた三枝克之さん
両親が青春を過ごした1960年代に郷愁と憧れを感じてきた私にとって、この映画の舞台となる60年代後半は興味深い時代だ。三億円事件が起きたのは1968年、映画の中では、当時の雰囲気を忠実に再現している。それもCGを使わずにというからスゴイ。
昔の汚かった新宿南口の階段っぽい場所や、ジャズ喫茶の空気感、下宿の感じやファッションに至るまで再現している。中でも、車が大変だったとか。名車と呼ばれるような車は残っているのだが、普通の車が残っていないので苦労したそうだ。
宮崎あおいの演技は際だっていた。『純情きらり』とはまた全く違う表情を見せていた。特に、バイクや車を難なく乗りこなす役どころなのだが、これが堂に入っている。特に車は古い車なのでもちろんマニュアル。今の車よりずっと乗りにくいはず。随分練習したのではないだろうか。
がしかし、舞台背景は作り込めても、人間はセットのようには作り込めない。役者の顔つき、体つき、体の動きがどうしても40年前の若者に見えなかった。和式便所をまたいだり、銭湯へ通ったり、携帯電話も無くて電話は下宿に赤電話がひとつ、みたいな生活をしているようには見えない。
思考というか倫理観も、芝居としては当時の内容なのだが、役者の雰囲気が本当にはシンクロしていない感じがして、背景との違和感を感じた。日本人って、40年の間に随分と変わったのだなという気がした。
颯爽と歩くちょっと大人びたあおいちゃんがかっこいい作品でした。
シネパレットで2006年6月24日から。
追記:
それにしても三枝さんって何者なのだろう。いつもすごいことをさらりとやっている。それで居て“すごい人オーラ”をあからさまに周囲に発散しない、むしろのんびりしたおじさんという感じ。自分がすごい人だというアピールをする必要がないから自然体なんだろうな。そこがまたすごいと思う。