東京にいた頃に三線を教えて頂いた、大山泰則先生が亡くなられてちょうど1年ということで、追悼の演奏会が開かれることとなり、冬の東京へ。
演奏会の前日東京入り。この日は内幸町ホールで藤木勇人さんの公演があり、足を運んだ。久しぶりの東京で、浜松町から京浜東北線に乗ってしまい、新橋で降りそこなったり、内幸町ホールが地図に載っていなくて迷ったりして、開演からちょっと遅れて席に着いた。
席に着くと、ちょっと毒気の効いた海人のネタ。藤木さんはこういうネタの方が凄みがでて良いと思う。藤木さんの中にある、様々な葛藤が、こういう役に陰影を与えているような気がする。
後半は、うちなー噺家として、関西落語っぽいスタイルでのお話。ウルトラシリーズの脚本を多く手がけた、金城哲夫さんをモチーフにした話。
ウルトラセブン最終回の、あの有名なダンとアンヌの別れのシーンを沖縄芝居と交錯させる演出は秀逸。「アンヌ、僕は人間じゃないんだ、M78星雲から来たウルトラセブンなんだ、チャチャン、チャチャンチャチャンチャチャンチャチャン(ピアノ)♪」のあのシーンがウチナーグチで語られ、しびれた。
ウルトラシリーズは1966年から放映が始まり、今年40周年を迎えた。金城哲夫のウルトラシリーズを夢中で見て育った世代が大人になり、沖縄は日本人のあこがれの移住地、ひかりの国となった。今日の沖縄ブームは、金城哲夫によって仕込まれたものだったのかもしれない。などと考えながら公演を見終えた。
夜は、三鷹の
バイユーゲイトという店で、ローリー・クック・ライブを見に行く。
このお店のマスターには箆柄暦も随分と贔屓にして頂いている。偶然にも大学時代の先輩が常連とか。その先輩はバンバンバザールとかカセットコンロスとも関わりが有ることを知った。そのほか、吾妻&SBの牧さんもこの店の常連とか。
この日はこの先輩と再会を約束していたが、登場せず。ま、いつものことなので、相変わらずこんなもんかなと(笑)。その代わりと行っては何だが、チェアーズのえーちゃんとは再会。この人も相変わらずだけど、最近月二回くらいあっちこっちで弾き語りのライブをしているとか。がんばってますな。
そんなことより、ローリーさんのライブは最高だった。特に終盤のぶっ飛ばしぶりには驚いた。たたみかけるようにのりの良いナンバーが続き、ローリーさんの胸元から顔が、みるみる紅潮していった。アンコールもたっぷりだった。店の雰囲気がコザにあった頃のMOD'Sとちょっと似ていて、興奮した私はいったい今どこにいるのかわからなくなった。
東京に着いたその日に、何故か沖縄もののダブルヘッターだったが、共通して感じたのは藤木さんもローリーさんも、沖縄でみたことの無いような表情でのびのびと舞台に立っていたことだった。お客さんの数もさることながら、真剣に自分の芸に聞き入ってくれている感じが、何より表現する者にとってうれしいのだと思う。
ここに来てくれているのは全部自分のパフォーマンスを楽しみにしてきてくれているお客さんで、自分の一番やりたいことをすればそれでいい。そんな安心感が演じる側の力を120%にもして、Someting Wonderを生み出しているような気がすると同時に、心配になった。
最近、県外での活躍の方にやりがいを感じる沖縄のアーティストが増えているように感じている。もちろん地元ならではの雰囲気もあるけれど、それは仲間内の気易さのようなことが中心であって、アーティスティックな意味での満足とは違うだろう。
アーティストがアーティスティックな満足(あるいは挫折)を感じられる空間こそが、今沖縄に欠けているのではないだろうか。興行的にとか地域のつながりでの成功とは別に、そういう場所がないと、ちょっと不味いのではないかと思ったりした。