口は出しても、手は出さない。何のことか分かりますか?
在宅介護をやっていて、一番困ること。
家族や親戚で介護を行おうとするときに、家族間の話のモツレから先に進めない原因になるのです。
いろいろな介護がありますが、僕たちが家族の中に入り込むわけにも行かないし、家族・親戚間でまとまらないまま実践すると、途中で失敗することもあるわけで。
とあるおばあさん。
沖縄から息子の住む内地へ。
認知症のため、自分で食事する事が出来ず、試行錯誤。食事は、毎日ほぼ全量を残してしまう方でした。
そこでふとひらめいたのが、少しずつ手のひらに乗せてみること。
それがうまくいき、拒否されながらもほぼ全量摂取できるように。
なぜひらめいたのかと言うと、「女性は働く訳でもないのだから昼ごはんなんてゆっくり座って食べている場合じゃない」と言う旨の会話から。「男は働くのだから“おばぁ”の分まで食べなさい」と。
たぶんチョコチョコと食べられるものを食べて来た方なのかもという発想。
じゃあ、チョコチョコ食べているような感覚になってもらうため、手のひらに。
うまくいっていたと思うのも束の間、急に引越しに。
現在は、食事をうまく取る事が出来ず、胃に穴を開けてチューブで栄養を入れている状態と聞き、「無力さを痛感させられた」出来事でした。
引っ越された当時は介護施設に通所され、うまく行っていると思ったのですが、やはりと言うかなんと言うか。
冒頭の口は出しても手を出していなかったのは、僕自身なのではないかと思い、ほんと落胆。
内地の通所施設を無理にでも聞き出し、教えておくべきだったのか、こうなることを予測して、家族に十分伝えるべきだったのか、こっそり会いに行き話しだけしたいと思うほど思っていたけど、思うだけではやはりだめ。
家族・親戚の方が話し合うときには、“その後のことを想像できるような関わりを専門職として伝えることも大切”とほんと思いました。
専門職の関わりが悪いと、認知症の方が内科的に何も悪い所がないのに、認知症のため、生死をさまよう事になるのだから。
もう一度、回復され、元気に歩き回る“おばぁ”に会いたい。

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