その昔、琉球国に加寿翁という大酒飲みがおりました。
ある日加寿翁がホロ酔い加減で道を歩いていますと、何かに蹴つまづいて転びました。
起き上がってよく見ると古い壺が転がって
ます。
加寿翁この壺を拾い揚げ、酒でも残ってんじゃねぇかと逆さまにして振ってみます。
すると壺ン中からボワッと白煙が出て、お約束の巨人が現れました。
で、またまたお約束のセリフです。
「おー、ワシを壺から出してくれたのはお前か?ヨシヨシ、んじゃぁ何か望みを叶えてやるべぇか。但しさっき壺を乱暴に蹴飛ばしたから願いは一つだけだぞ」
これを聞いた加寿翁、酒で霞んだ頭で色々考えます。
『んー、最近アッチが全然ダメだから治してもらって昔みたくオンナ取っ替えひっかえ…いやいや、その前にアッチコッチのカネの問題をスッキリさせなきゃならんし…』
暫く唸っていましたが、突然思い出したように巨人に願い事を告げます。
「ワシ決めたがじゃぁ」
「ん、オンナか?カネか?」
「いやいや、両方とも結局はメチャメチャになっちまうからヤメとくだ。んでな、ワシの望みはよぅ、ワシの出すションベンが全部酒にならねぇかな?って思ってるだじゃぁ。どーかね?」
これを聞いた巨人
「なーんだ、そんな事でえーがか。お安いご用…えいッ!」ってんで気合いを入れますとすう〜ッとどこかへ飛んでいっちまいました。
残った加寿翁、しばらくは夢を見ているようでしたが、ハッと我に返り家に飛んで帰ると、早速試してみることにしました。
空になった酒の甕にオシッコをし、恐る恐る匂いをかいでみると、なんと!芳醇な香りがするではありませんか!
そこで少しだけ小指の先を浸してオッカナビックリ舐めてみると、なんとなんと!最上の泡盛、何十年も寝かした古酒の味わいではありませんか!
加寿翁クリビツ!唸って呟きます。
「こらーえらーでかんわ!ほんまもんのくーすーだぎゃぁ!色が飴色なんは解るとして味までくーすーだがよ。まあ、ちぃっと燗が付いとるんが余計だがの」
しかし加寿翁根っから酒呑みですから少しヌルいのもお構い無しでグビグビやって寝ちまいます。
夕方ンなってこの家に露魅甫という女性が訪ねてきました。
この女性、身も心も美しいのですが、唯一の欠点が加寿翁に輪を掛けた大酒呑みということでした。
それ故、言い寄る男を片っぱしから酔い潰しちまって、今じゃ呑み仲間は加寿翁だけです。