与世山澄子さんの話題もそろそろ解禁かな。
南博(p) 与世山澄子(vo) 安カ川大樹(b) 菊池成孔(sax)
米軍キャンプ以来のキャリアを誇り、沖縄の
ビリー・ホリデイとまで称され、今でもジャズボーカリストとして人気上位に入る与世山澄子さん。彼女が20年ぶりのアルバム『
インタリュード』(2005年8月10日発売)を制作すると聞いたのは4月のことだった。
企画したのは私の東京時代の三線仲間が所属する
タフビーツ。レコーディングは安里にある彼女のお店「インタリュード」の店内だった。友達の紹介でレコーディング風景を見に行くことが出来た。正直言って店の前を通ったことはあっても入るのは初めてだった。沖縄とは思えない不思議な空間だった。
パードン木村(produce) ZAK(engineer)
与世山さん以外のメンバーは、レコーディングエンジニアも含めて、内地の腕っこきを揃えていた。そんな中で印象に残ったのは、与世山さんがちっともお人形さんではなかったこと。ここはそうじゃない、そこはこうしたいと、自らもきっちり作品に参加していた。
当たり前といえば当たり前なのだが、世のボーカリストの中には、カリスマ的に扱われる大物でもスタッフに囲まれてすっかり歌うだけの存在になってしまっている人もいるのだ。レコーディングの現場を見て、この人は伝説の人どころかばりばりの現役なのだと思った。
この日(2005年4月12日)はレコーディングの常で時間がない。取材はまた別の機会にということにして、その場を去った。できばえを期待出来る雰囲気だった。
しばらくしてラフミックスのサンプル盤が届く。良いスピーカーのつないである会社のMacで、でかい音でならしてみた。いいじゃないこれ。インタリュードの店内の雰囲気がそのまま閉じこめられている感じ。それに夜中仕事をしながら聞いても全然邪魔にならない自然な仕上がり。
そんなある日、タフビーツスタッフの友達からまたまた電話があって、「今夜インタリュードに挨拶に行くので一緒に行きませんか」とのこと。レコーディングの時には話をすることが出来なかったので、初めてのご対面がスタッフと一緒だと心強い。
歌を聴きたいという人が来るとピアノ弾きを呼びに行くような調子。ゆるい。
友達はまるで与世山さんの娘のように馴染んでいて、おかげで私もリラックスして話が出来た。実際に話してみて、ほんとに気さくな人なので驚いた。もっと難しい人かと思っていた。“昔、散々楽しい思いはしたから、もうそんなに持ち上げなくても良いのよ”的なさばさばした雰囲気の人。だからこそ強烈なプライドも感じる。
「ビリー・ホリデイ晩年の伴奏者だったジャズピアニスト、マル・ウォルドロンと共演した『ウィズ・マル』以来、20年ぶりのレコーディングですね」と通り一遍の話を切り出すと、「皆さんそうおっしゃるけど、引退してたわけじゃないからあんまり20年なんて言わないで。毎年内地にだって歌いに行ってるじゃない(笑)」と軽くいなされてしまった。
こういうタイプの人は好きだ。
◆ライブの予定
●与世山澄子「インタリュード」CD発売記念ライブ
日時:2005年9月11日(日) 開場18:00開演19:30
場所:Motion Blue YOKOHAMA
出演:与世山澄子(vo)、南 博(p)、安ヵ川大樹(b) ゲスト:菊地成孔(sax)
料金:4200円(税込)
問合:Motion Blue YOKOHAMA TEL:045-226-1919
9月か10月に那覇でのライブも予定されているそうです。お楽しみに。
追記:
さて、インタリュードの1階は喫茶店になっている。与世山さんは昼間は喫茶店を見ているという。ホントかよ? と思いながら、試しに寄ってみると、確かに与世山さんが店に居る。「いらっしゃい、今開けたところなのよ」なんて言いながらそばを作ってくれる。
これが沖縄のレディデイがつくるジャズそば。
先日このPashaに、「安里そば。テイスト・オブ・ジャズ」とキャプションを付けたのはそのためだ。