このブログの前に書き込んだブログの内容、
覚えていますでしょうか?
中島らもさんの本、「愛をひっかけるための釘」のお話。
その時書いた文章を引用してみます。
自分で書いた文章を自分で引用する、というのもちょっとおかしな感じしますが。
* * * *
中島らもさんのエッセイをよく読んでました。
愛情あふれる人だったんですよねぇ。らもさんって人は。
美しいものだけじゃなくて、醜かったり危険なもの、特殊な人や作品、弱者などに特にらもさんは愛情を向ける人なんですねえ。
まあB級なモノが昔から好きだった、ということもありますが。
(中略)
んで、そのらもさんが遺した一冊のエッセイ。
「愛をひっかけるための釘」
んもうタイトルが秀逸ですよね。
「愛」を
「ひっかける」んです。
どっかのB級な小説家だったら「愛を抱きしめる」とか言いそうだけど、
らもさんは「愛」を「ひっかける」と。
彼の愛情はすごくお仕着せがましさがないんだろうな、と。
そのエッセイ、どんな内容だったかちょっと思い出せないですけど。
多分らもさんだったら、
愛する人が疲れた時に、苦しいことや辛い事、悲しい事を脱いで、その「釘」にぶら下げちゃいな、という思いを含めたのかもしれない。
それをひっかける為の釘を、ボクはその瞬間の為に打ち込んであるから。
ってことなのかな。
* * * *
といった事を書いてみました。
その続きはいつものようにおちゃらけばっかりだったんですが。
「いい国作ろう、キャバクラ幕府」
だとかなんとか。
で。
夜、自分のブログをのぞいてみると、
コメントがいくつか残っていました。
そのひとつに、ビンさんという方からのコメントがありました。
こんな文章でした。
* * * *
投稿者:ビン 2009/8/11 16:43
私の大事な大事な人が今
病院のベッドで天国へ旅立とうとしています
胸が苦しくて苦しくて
心が痙攣しそうです
別れに際して
いつかは来るであろうと頭の中ではただ漠然とうかんでいたけど心の準備が全く間にあわず
引っ掛ける釘もなくて
ただただ飛行機が飛ぶように…ただただ旅立つ前に触れることが間に合うように祈る思いでいます…
飛行機の一時間遅れを待ちながら釘をそこらじゅうに沢山打ってみます
* * * *
ビンさん。
ビンさんが打ったたくさんの釘に、大切な人の想いや辛さや、これまでの思い出や感謝や冗談話やあれもこれも、
たくさんたくさんひっかかって
別れの時間がすこしでも遅くなって、
別れの苦しみがすこしでも癒されて、
セーターが釘にひっかかって、知らず知らずにその糸が解けていて、
でもその糸は切れる事なく、ずうっとつながっていて、
「今」はたしかに瞬間だけど、
「今の気持ち」は永遠なんだって事を二人が感じていて……
そんな時間を過ごせてくれただろうか、と思った。
* * * *
ビンさん
遅れた飛行機を待つ、そんな苦しい時間に、
ボクの書いたどうしようもない、
くだらない文章が少しでもアナタの救いになっていたら幸いです。
そして、
カキコミという『釘』を打ってくれてありがとうございます。
アナタが打ってくれた釘のひとつは、ボクの心にひっかかりました。
そして、この文章を読む何人かの心にも引っかかるでしょう。
アナタの打ったその「愛をひっかけるための釘」は、
これからも錆びる事はありませんよ。
悲しみの後に大きな幸せが訪れますように。
* * * *
こういう時こそ、
いつものようにボクが芸人としゃべっているラジオ貼っておきます。
日常に戻りたくなったら聴いてくださいね、ビンさん。

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